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「デイダラボッチ」は実在した!!



 

 本日は私の母方の祖父が若い頃に体験したという「不思議な出来事」について、お話しさせていただきたいと思います。

 

 これは私が子供の頃に若き日の祖父が体験した話として母から聞いたものです。

 

 私の母方の祖父(30年以上前に他界)は、若い頃人里から少し離れた山の上に畑を持っていたそうです。

 

 その祖父がある日の夕暮れ、一日の仕事を終えて家路に着こうとしている時、ふと振り返った先にとんでもない物を見てしまったそうです。

 

 それは何と、雲を突き抜けるほど巨大な「人型の物体」が山々を跨いで去って行く後ろ姿で、祖父はその姿をはっきりと目撃したというのです。

 あまりの衝撃にパニックに陥った祖父は、逃げるように山を駆け下りて帰宅し、恐怖で再びその山へ登る事もできなくなり、間もなくその土地も手放してしまったのだそうです。

 

 私は母方の祖父母とは幼少期のほんの一時期しか同居したことがなかったったため、祖父の性格等については正直な所あまりよく知りません。
 しかし、母の口から聞く祖父の人間像はいつも、一言でいうと「厳格な人物」です。
 祖父は私が中1の頃まで健在でしたが、私から見た祖父の印象もそれとあまり大きくは変わりません。
 つまりどう考えても、祖父は土地を手放す口実に作り話を持ち出すような人間ではないし、また、感情に翻弄されて弱気な自分を躊躇なく人前で見せられるほどプライドの低い人物でもなかったはずなのです。

 

 そんな祖父が「UMA(Unidentified Mysterious Animal):未確認生物」を目撃したという歴史が自分の家系にあったという事実。
 (祖父には申し訳ないのですが)私はとても嬉しくなって、その日の日記に絵付きでその事件の事を書いたのを覚えています。
 日記への担任の反応の薄かった(検印のみ)事も鮮明に思い出されてしまうのですが・・・ (゜-Å)

 

 私がその話を初めて他人(友人)にしたのは30代前半になってからでした。

 

 「それって デイダラボッチ ?」

 

 私はその友人の率直な反応に愕然としました。

 

 「あの巨人がデイダラボッチ!?」

 実は私自身、考えてみたこともなかったのです。

 

 デイダラボッチ(ダイダラボッチともいう)とは、日本古来の精霊(妖怪?)の名前で、スタジオジブリのアニメ映画「もののけ姫」にも登場したことがきっかけとなり、それ以降は日本中の人々の知る非常に有名なUMAとなりました。

 

 もちろん、実際にそんなものが存在したことなど、この国の大半の人が信じてはいないのでしょう。
 しかし、祖父が目撃したという「巨人」のイメージは、その「デイダラボッチ」と非常に良くマッチするのです。

 

 それに何より、祖父や母らにデイダラボッチの「既成概念」がなかったであろう事実は、その話にさらに強力な信憑性を持たせるポイントとなります。

 この話を後世に伝えた母や家族は、これを単に「もったいない話」として語っているだけで、誰一人「デイダラボッチ」やUMAの目撃談と捉えていない点から、祖父を始めとする周囲の人々は誰一人として「デイダラボッチ自体を知らなかった」可能性が高いと考えられます。

 

 つまり、その日祖父が日中の畑仕事の疲労から夕暮れに時に幻覚を見たのだとしても、デイダラボッチ自体を知らない祖父が、古くから言い伝えられてきたデイダラボッチ「そのものの幻覚」を見る可能性は低いと考えられます。
 また、話が一人歩きして 「デイダラボッチ」という既成のイメージと結びついたという憶測も、周囲の認識実態から考えると、まず考えられない展開であると言えます。

 

 大正か昭和初期の出来事という事になるのですが、私はこの話を通して、この国には本当に「デイダラボッチ」が存在したのだと信じるようになりました。

 

 少なくとも祖父は見たのです!!